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Part16 入学式(式辞)

2021年4月12日 10時02分

 式 辞

 満開の桜の花びらが、春風に乱れるように美しく舞い、花びらの間から、すがすがしい新緑が輝きを増していく季節となりました。

 この佳き日に、伯方支所長 野間 誠様をはじめ、PTA会長 織田将秀様、保護者の皆様のご臨席を賜り、入学式を挙行できますことを、心より厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。

 新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。

 思えば、昨年度は、小学校最後の年でしたが、新型コロナウイルスの感染防止のため、学校行事の多くが、中止や規模が縮小され、充分な活躍ができず、不安と共に、悔しい思いをしたのではないでしょうか。

 しかし、先ほどの一人一人の呼名に対するしっかりとした返事、引き締まった表情に、「今日から伯方中学校の生徒として頑張ろう」という強い意思が感じられ、大変うれしく、そして、頼もしく感じられました。

 本校は、「自らが学ぶ」の校訓の下、先輩たちは、日々、勉強や部活動、学校行事に、一生懸命に取り組んでいます。昨年度は、みなさんと同じく、制限された環境の中ではありましたが、三年生を中心に、全校生徒が団結し、自分たちのベストを尽くすことに挑戦し続けました。

 新入生のみなさんも、先輩たちとともに、これからの三年間、自分の可能性を信じ、自分のよさを発揮しながら、様々なことに、積極的に挑戦していってほしいと思います。

 そこで、今日は、新入生のみなさんに、一つ、お願いしたいことがあります。

 それは、「将来の夢を持ち、その夢の実現のために、努力してほしい」ということです。

 これは、私が毎年、新入生にお願いしていることです。自分は、将来、こういうことをしてみたい、こうなりたい、という「夢」、つまり「目標」がなくては、何を頑張ればよいのか、どのくらい頑張ればよいのか、わかりません。充実した中学校生活を送るためにも、まず、これから自分が進むべき道、「将来への夢」を持ってほしいのです。

 今、新型コロナウイルス感染拡大のために、今まで当たり前にできていたことができず、社会全体が停滞しているように見えます。そんな中、飛躍的に普及していることがあります。それは、インターネットを使った情報伝達技術、ICTと呼ばれるものと、AIと呼ばれている人工知能です。イギリスのオックスフォード大学のオズボーン教授によれば、あと十年で、今、人間が働いている仕事の半分が、人工知能AIに取って代わられるそうです。具体的には、スポーツの審判、モデル、カフェ店員、事務員、ネイリスト、タクシードライバーなどだそうです。十年後と言えば、丁度、みなさんの多くが、仕事に就く時期と一致します。

 新入生のみなさん、どうか、中学校生活三年間で、自分の進むべき道をしっかりと考え、その実現に向けて努力してください。そうすることで「夢の実現」に向けて、着実に歩み続けることができると思います。

 みなさんもよく知っている、水泳の「池江璃花子」さんは、十八歳で白血病と診断され、十か月の入院生活を強いられました。その後、再び、オリンピック出場を目指して、毎日、苦しい練習に取り組みました。そして、先日の四月四日に行われた日本選手権の女子百メートルバタフライで優勝し、東京オリンピックの代表に内定しました。この日のインタビューで、彼女は、こう言っていました。「五年前のオリンピック選考会よりも、ずっと自信もなかったし、自分が勝てるのはずっと先のことだと思っていたんですけど、自分がすごくつらくてしんどくても、努力は必ず報われるんだというふうに思いました。」これまでの思いがこみ上げたのか、時おり、声を詰まらせる場面もありました。

 失敗を恐れず、努力し続けることが、自分にとって何よりの力となり、自分の世界を大きく広げていくことにつながる。このことを目の当たりにすることができた出来事でした。

 新入生のみなさん、中学校生活で、「自分の夢」という木を心にしっかりと植え、「努力」という栄養を与え続けることで、大きく育ててください。

 三年後に、多くの実践に取り組み、様々な体験をし、たくましく、そして、夢の実現に向かって、大きな一歩を踏み出している。そんなみなさんに会えることを、今から楽しみにしております。

 保護者の皆様に申し上げます。本日は、お子様のご入学、誠におめでとうございます。

大切なお子様を今日からお預かりいたします。本校にとってもかけがえのない生徒です。保護者の皆様と緊密な連携をとりながら、教職員一丸となり、生徒に寄り添い、共に歩みながら、生徒たちの知力・体力・人間力の向上を目指すことをお約束いたします。なにとぞ、温かいご理解とご協力を頂きますよう、お願いいたします。

  結びに、本日から四十名の新入生を迎え、いよいよ伯方中学校の令和三年度がスタートします。新入生の皆さんが、一日も早く中学校生活に慣れ、本校の歴史と伝統に加え、新しい校風づくりの主役として活躍してくれることを願い、式辞といたします。

 

 令和三年四月九日

     今治市立伯方中学校長 越智秀雄