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Part27 卒業式での話

2022年3月14日 10時28分

 卒業式での式辞として、話した内容を掲載します。

 

 厳しい冬の寒さにじっと耐えていた木々の枝に、小さな芽が日増しに増え、膨らみ始めています。春の訪れと共に迎えた今日の佳き日に、(今治市教育委員会学校教育課長)様 ならびに(PTA会長)様のご臨席を賜り、令和三年度、第十四回卒業証書授与式が、このように厳粛に挙行できますこと、そして、全校生徒並びに三年生の保護者の皆様にご出席いただき、卒業生を祝福できますことは、本校にとりましてこの上ない喜びです。厚くお礼を申し上げます。ありがとうございました。

  さて、数々の懐かしい思い出と、大きな夢や希望を胸にして、本校を巣立っていく、三十八名の皆さん、卒業おめでとうございます。

  みなさんが、今、手にしている卒業証書は、中学校の全過程を修了した証明です。一人一人に手渡しした時の表情には、大きな満足感と、新たな出発への決意が感じられ、とても嬉しく思いました。

  本校での三年間、特に二年生、三年生としての二年間は、皆さんにとって、思うような活躍ができず、悔しい思いをした二年間だったと思います。

 しかし、皆さんは、ご家族の温かい励ましや、地域の皆様方のご支援、先生方の指導によって、制限のある状況ではありましたが、友達との絆を一層強くし、持てる力を十分に発揮することで、ピンチをチャンスに変え、大きく成長しました。私は、その成長した姿を、運動会の応援合戦や創作ダンス、文化祭の人権劇など、いろいろな場面で、目にすることができました。

 皆さんには、是非、その成長した姿をお世話になった方々に、笑顔で、感謝の気持ちを込めて伝えてほしいと思います。特に、小さい頃から、雨の日も、風の日も、暑い夏も、寒い冬も、皆さんの笑顔を喜び、ふさぎ込んでいたら心を痛め、ひたすら皆さんの成長を願い、この日を心待ちにしてこられたご家族の方々に、心をこめて「ありがとう」の気持ちを伝えてください。

 さて、私から、卒業という一つの節目にあたり、これからの時代を生きていくみなさんに、「自分独自の生き方・夢を見つけ、その実現に向かって行動する人間になってほしい」という願いについてお話しします。

人の一生にはたくさんの喜びや楽しみがあると同時に、苦しみや困難、悲しみに遭遇することがあります。そうした苦労から逃げてばかりいては、周りの人と強い絆を育てたり、自分の夢を実現したりすることはできません。

 本田自動車の社長であった故本田壮一郎氏は「同じことを成し遂げた人であれば、それまでに、より多くの失敗をし、苦労をした人の方を認める」と言われています。

人間は、辛い思いをして苦しみや悩みに打ち勝った経験をもっていることが大切であり、何かを成し遂げようとするときには、その経験が必ず役に立つからだそうです。

 例えば、みなさんもよく知っている、あの有名なアメリカ第十六代大統領、エイブラハム・リンカーンも、州議会議員選挙に落選したのをはじめ、数えて合計八回も落選した後、大統領になりました。

 発明家トーマス・エジソンに至っては、電球を発明するまで千回もの失敗を繰り返したそうです。しかし、後のインタビューで、ある記者に「千回失敗したという気持ちはどういうものですか」と訪ねられたときには、「千回の失敗をしたわけではない。千のステップを経て電球が発明されたのだ」と答えたそうです。

  これからの二十一世紀、予測のつかないことが起こるであろう時代に活躍するみなさん、自分の特徴や、自分の置かれた環境をしっかりと理解し、その上で、自分独自の生き方・目標を見つけ、その実現に向かって積極的に行動してください。周りの人と強い絆を築き、その支えに感謝しながら、実現するまで、諦めることなく、何度でも挑戦し続けてください。それが、これからの時代に合った生き方だと思うのです。 

 この苦しい二年間を耐え、乗り越えてきた皆さんなら、きっとできると信じています。

 終わりになりましたが、保護者の皆様、お子様のご卒業おめでとうございます。九ヵ年の義務教育を終え、未来に向かっての新しい門出を心からお喜び申し上げます。また、PTA活動などを通してお寄せ下さいました本校へのご理解・ご支援に深く感謝いたします。本当にありがとうございました。

 最後に、新たな人生に向かって、旅立つ卒業生のみなさんに、「相田(あいだ)みつお」さんの言葉を送り、式辞とさせていただきます。

 

道は自分でつくる

  道は自分で開く

   人のつくったものは

    自分の道にはならない

 

   令和四年三月十七日

       今治市立伯方中学校長  越智 秀雄